コロナ禍で継続する「緊急駆けつけ支援」

2020年4月7日の第一回緊急事態宣言時。ネットカフェへの休業要請が出されることにより、推計4000人ともいわれるネットカフェを居所とされている方が、追い出され、行き場をなくす可能性が出てきました。

それを防ぐため、私達は複数の支援団体と協力し、同日よりコロナ禍で住まいを失った方を主な対象として「緊急相談フォーム」を設置。するとその日から「仕事がなくなり、お金がなく身動きがとれません」「いつも泊まっていた安いネットカフェがお休みになり、高いビジネスホテルしかなく今夜は野宿するしかありません」といった、お金も住まいも失った方からのご相談が寄せられるようになりました。

感染リスクを避けるため、フォームから寄せられるSOS一件一件へ、身動きがとれなくなっているご相談者のもとまで支援スタッフが駆けつけるという相談体制を現在も継続。

緊急事態宣が終了したあとも、フォームからのSOSは途切れることがありません。

2023年末時点で、のべ2000人を超える方からの緊急相談に対応し、当日の宿泊費支援や翌日以降の生活保護申請同行、その後のアパート入居までのフォローアップを実施しています。

しかし、私達までSOSを発信出来る方はおそらく氷山の一角です。声を上げることができず、住まいもお金もない状態で路上へ取り残されている方が多くいらっしゃると考えられます。

「自分も助けたい」という声をつないで受け皿にする

その一方、私達の緊急駆けつけ支援が知られていく中で「自分も困っている人を助けたい」「出来る範囲のことで何かしたいのだが、何をすれば?」といった協力のご相談を受けることも多くなりました。

ご連絡をいただくのは個人・団体さまざま。ただ、何かしたいというお気持ちがある一方、具体的に何をしたらよいかわからないといった不安の声も同時にいただきます。

そういった潜在的に「助けたい」と考える市民の方々の力をお借りして、駆けつけ支援だけではどうしても零れてしまう「今、路上で立ち尽くす方」を受け取ることができないか。

それを考える中で「その一日をしのぐことが出来る緊急お助けバックを、さまざまな市民の方々へ受付スポットになっていただき、簡単な受付で受け取り翌日支援へつなげる」支援スキーム「せかいビバーク」が生まれました。

「せかいビバーク」の仕組み

直近でアパート・寮から追い出された。ネットカフェなどに住んでいたが今日は泊まれない。公的支援に相談したい。

「せかいビバーク」のWEBサイトで、「受け取りスポット」を知り、受け取りに向かう。

提携する「受け取りスポット」で受付をし、緊急お助けパックを受け取る。

パックの中身を使って安心できる場所で一泊。

翌日、パック内のガイドに従って公的支援窓口に行ったり、支援団体に連絡をする。

誰もが「困ったその時に」助け合える社会を目指して

「ビバーク」とは、登山などで予定通りの行動ができなかった時、緊急的にその場で野営し、その夜を安全にしのぐことをいう言葉です。

あなたの住む地域のすぐそばで、つめたい夜の中、どこにも誰にも頼ることが出来ず、どこにも行けず立ち往生している方がいるかもしれません。そんな状態の方がひとりでも減るよう、安全にその一晩をすごし、翌日支援へつながれる社会を目指して。

私達は「せかいビバーク」を通じて、そんな社会の実現を目指します。