未だ重要性が消えない音声電話

緊急支援で寄せられるSOSの傾向で顕著なのが、「携帯電話」の音声通話(番号)を失っている方が全体の3〜4割を占めることでした。この方々は街中のフリーWi-Fiに、電波の停止した自分のスマートフォン端末をつなぐことで、情報を得たり、連絡をとったりしている状況でした。

一度電話番号を失った方が私達の支援につながっても、すぐに携帯電話回線を再取得することはさまざまな事情により難しく、保証会社との連絡不能によりアパートの入居がすぐに開始できない要因となっていました。

この課題を解決するため、私達は最大2年間無料使っていただける電話貸与プロジェクト「つながる電話」を2020年より開始。現在までのべ200名以上の方に電話を使っていただき、連絡手段がないことによる社会的不利を解消してきました。

つながる電話については https://umbrellafund.tokyo/tsunagarudenwa をご覧ください。

「緊急用の公衆電話」を再発明する

ただ、この「つながる電話」では、まだ支援団体とつながれていない方々、路上で取り残されたままの方々の電話による通信を担保することは叶いません。

電話番号を失ってもフリーWi-Fiにつなぐことが出来るなら、さまざまなメッセージアプリなどで連絡をとることが出来るのではないか。

もちろん一面ではそうなのですが、一方で公的な相談窓口においてはまだまだ「電話のみ」を連絡手段としてひらいているところが多いのが実情です。また、民間の相談支援団体においても、SNS相談やメッセージアプリによる相談が急速に進んでいるものの、その普及にはグラデーションがあります。そうした状況に加えて、最後の通信インフラとなりえる「公衆電話」もどんどん街角から姿を消しています。

路上に多数の方が連絡手段も失った状態で立ち尽くしている今こそ、逆に誰もが緊急相談先へ電話が出来る「公衆電話」を再発明する必要があるのではないでしょうか。

誰もが「SOS」を発信できる社会を目指して

以上のような社会課題を解決するため、フリーWi-Fiを使ってブラウザ上から緊急相談先へ電話がかけられる支援スキーム「つながる電話WEB」が生まれました。フリーWi-Fiが使える場所なら、誰でも緊急相談先へ通話し、SOSが発信&受け止められる社会へ、少しでも前進させていきます。